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第67話  ため息ひとつぶんの距離

last update publish date: 2026-08-05 19:00:30

カフェを出たあと、朱里と嵩は並んでショッピングモールの通路を歩いていた。

人混みのざわめきとアナウンスが、やけに遠く感じる。

隣を歩く嵩の歩幅に合わせながらも、朱里の心はちぐはぐなままだった。

「なぁ、朱里。さっきのカフェ、気に入った?」

「うん、美味しかったよ。ラテアート、かわいかったし」

言葉のトーンはいつも通り──でも、笑顔は少し引きつっていた。

嵩はそんな彼女の表情を横目で見て、小さく眉を寄せた。

「なんか、怒ってる?」

「怒ってないよ」

「……嘘」

淡々とした嵩の一言に、朱里は足を止めた。

彼は少しだけ前に出て、振り返る。その穏やかな目が、朱里にはやけにまっすぐに見えた。

「朱里って、分かりやすいからさ」

「なにそれ。別に、全然分かってないく
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